今昔物語集 本朝

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※ちるくる注:缺字は"×"で表した。

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http://tirukuru.jp/pyon/text/konjaku_yamato.html

大和國人捕語第廿八

今昔。大和國××郡ニ住ム人有ケリ。心猛クシテ永ク哀ミノ心无カリケリ。只好テ晝夜ニ生命を殺ス事ヲ業トシケリ。而ル間。其人野ニ出テ莵ヲ捕テ生乍ラ莵ノ皮ヲ剥テ躰ヲバ野ニ放チケリ。其後此人幾クホドヲ不經ズシテ毒ノ瘡身ニ遍シテ。膚亂レ爛レテ。痛ミ悲ム事无限リシ。醫師ヲ呼デ藥ヲ以テ療治スト云ヘドモ叶フ事无クシテ日來ヲ經テ遂ニ死ニケリ。此レヲ見聞ク人。此レ他ノ事ニ非ズ。彼ノ莵殺セルニ依テ現報ヲ蒙ル也トゾ云ヒ謗ケル。此レヲ思フニ。殺生ハ人ノ遊ビ戯レノ態ナレドモ。生類ノ命ヲ惜ム事ハ人ニ増ル也。然レバ我ガ命ヲ惜ヲ以テ彼レガ心ニ准ヘテ。永ク殺生ヲバ止ムベシトナム語リ傳ヘタルトヤ。

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ちるくる註。

読みにくい方の為の、かな~りいい加減な意訳です。ご参考まで。突っ込み大歓迎です。

今は昔。大和の国のほげ郡に住む人がいた。勇ましかったが哀れみの心は持ち合わせておらず、昼に夜に狩をするのを好んで生業にしていた。そうしているうち、ある日その人は野に出て兎を捕らえ、生きている兎の皮を剥いで、そのまま野に放した。その後程なく、その人の全身の皮膚が爛れ、痛みが治まらなくなった。医者を呼んで薬を飲んでも効果はなく、数日後には遂に死んでしまった。これを見聞きした人は「他でもない、彼が兎を殺した報いを受けたんだ」と非難しあった。人からすれば殺生は遊戯のようなものだけれど、生き物は人よりも命を大事にしている。それならば、我が命が惜しいことを彼の心になぞらえ、殺生は止めようと語り伝えた。

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